薬七変化



健康に関するおはなし        by Mr.Osawa

今回は炭疽菌のお話

炭ソは、炭ソ菌によって引き起こされる感染症である。
これは元来、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジなどの草食動物にみられる急性感染症で、
敗血病死をすることが多く、畜産上重要な疾患である。
この炭ソ菌は、発育条件が悪くなると、芽胞を作る。
この芽胞を大量に吸入すると「吸入炭ソ」に羅患する。この芽胞が、生物兵器としてきわめて重要なのである。
吸入炭ソの症状は、発症には1日〜5日の潜伏期間がある。
被害者は、大抵最初の兆候を感じるまで感染に気が付かない。発症してからでさえ、その症状は顕著ではない。
最初の兆候である、軽い鼻閉、関節痛、疲労感、頑固な空咳などは、かぜやインフルエンザのそれと似ている。
この段階で、抗生物質による治療は可能である。
最初の症状が出て、数日経つと無症状期にはいる。
この時期には、炭ソ菌は恐るべき速さで増殖を始め、大量の毒素を産生する。
そして全身の臓器に障害が起こるようになる。
特に重大な損傷を受けるのは、肺である。
肺水腫が起こり、酸欠症を来す。
毒素が滲出しだしてからおよそ24時間経つとチアノーゼを呈する。
この段階では耐え難い呼吸困難、連続性の咳、痙攣発作が出現する。
そして大抵の場合、突然死亡する。
適切な治療が行われなければ致死率は90%以上に及ぶという。


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